平成10年度 卒業論文

年輪年代学的解析によるモミ・ツガの生長動態

Growth dynamics of Abies and Tsuga based on dendrochronological analysis.

             鹿児島大学 教育学部 小学校教員養成課程

               理科選修 植物学研究室

           平成7年度(1995)入学 51033 大山法治

Summary

 1.Dendrochronological analysis is an effective technique to investigate declining pattern in the growth of forests. In this study, regeneration pattern was analyzed based on tree growth of Abies and Tsuga, in Kirishima southern Japan. Furthermore, the environmental factor influencing on tree ring width of Abies and Tsuga was investigated. Finally, a long-term local-climatic fluctuation of Kirishima was estimated based on ring width of Abies and Tsuga, and climate fluctuation in future was discussed.

 2.The study plot was set up in Oonaminoike, Kagoshima Prefecture, southern Japan. The present study analyzed the growth dynamics of 51 trees of Abies and Tsuga ( Height ≧2m ) in a 100×100 m plot. Annual ring cores for growth analysis were sample by core-bowler. The data of tree growth of each tree was standardized by using a 5-year running means, and then expressed as a trend curve, and the ratio between the actual and smoothed values was calculated as a standard index. Moreover, master chronology of all trees of Abies and Tsuga was carried out.

 3.The present stand was consisted of trees of 90-350 years old for Abies and 30-360 years old for Tsuga. Both Abies and Tsuga had a peak at 240 years old in age structure. This indicates that Abies and Tsuga regenerated in 230-250 years age. The oldest trees of Abies and Tsuga were 354 and 360 years olds, respectively.

 4.The spatial structure of Abies and Tsuga in the stand was composed of several cohort patches. Such a patch structure suggests that each patch group regenerated at the same time corresponded to gap disturbances.

 5.The present study focused on the influence of monthly total precipitation, monthly mean temperature, and those in the previous year on annual ring-width. Multiple linear regression analysis was carried out using a forward stepwise method. The dependent variable was standardized ring width, and the independent variables were monthly total precipitation and monthly mean temperature. The most frequent parameter entered in this model was defined as governing factors of tree growth. The present result suggests that climatic changes in the early spring have a strong influence on growth dynamics of Abies and Tsuga, and tree community dynamics of Kirishima.

 6.In this study, tree growth of Abies and Tsuga was significantly correlated significantly with monthly total precipitation and monthly mean temperature in March and November. The twice growth seasons may be related to increasing ring width.

7.In conclusion, ring-width pattern of Abies and Tsuga give, to some extent, expression fluctuation pattern of mean temperature in the past. The fluctuation of monthly mean temperature in the past seemed to be large in recent years. These could be explained by the coefficient of variation (C.V.) of mean temperature in March increased with decades. The fluctuation of mean temperature in March may be caused by El Nino and La Nina. These suggest the relationship between climatic change at the global scale and the fluctuation of temperature at the local scale.

  U はじめに

 我が国の暖温帯上部から冷温帯下部にかけての移行部を中心とする地域には針葉樹林の優占する天然林が分布し、東北南部以南の表日本においては、主にモミ(Abies firma S.et Z.)あるいはツガ(Tsuga sieboldii Carr.)が優占する森林として認められている(吉良ら、1976)。特に東海、紀伊、四国、九州においてよく発達している(本多、1976)。この天然林は一般にはモミ・ツガ林と呼ばれており、調査地である霧島山系の大浪池周辺もその例である。

しかし、林業的利用の過程でモミ・ツガ林はほとんどが伐採利用されるばかりで、次第にスギ・ヒノキに置換えられてきた。そのために、山の全体的な相観はめだってきれいに整備された人工林になっている。モミ・ツガ林の減少は第二次世界大戦前の頃から著しくなり、戦後の乱伐、さらに昭和30年代以降、拡大造林の対象地の奥地化により急速に減少しており、現在では残存的な森林となりつつある。さらに、このまま推移すれば約40年で九州本島のモミ・ツガ林は消滅してしまうものと予想されている(中尾、1985)。

このほかにも近年日本各地で、葉量の減少、枝の先枯れ、葉の変色など樹冠の活力が急激に衰退し、更には立ち枯れまで起こす現象が多く報告されている。この原因として、大気汚染や酸性雨など環境要因との関係が論じられている。ヨーロッパでは比較的早くから大気汚染や酸性雨に起因すると思われる樹木の衰退、枯死現象が報告されているが、日本では、樹木の肥大成長や年輪構造にどのような影響を与えているかについては情報が不足していると言える。外国においても、緊急な研究課題としてそのような衰退木の組織構造や材質等が調査され始めてはいるが、情報は完全とは言えない。

このような時系列的な樹木の衰退を明らかにするためには、年輪年代学的解析が有効な手法の一つとして考えられる。樹木は、何十年、何百年、さらには屋久杉などにも見られるように何千年という単位で肥大成長を続け、年輪を形成する。年輪幅には、それ自体の遺伝的、生理的な内的要因や、その樹木が生育している場所の気象条件、個体間競争、生虫害、地形条件、そして近年の大気汚染などの外的要因や環境要因の変動によって直接影響を受けることが知られている。よって、年輪幅を解析することは、樹木自身の歴史を振り返るばかりでなく、その樹木が刻んだ数多くの生活環境の歴史をも知ることができると考えられる。

フリッツ(1976)は、樹木の生理機能と気象との関係を細かに分析した上で、年輪幅と気象因子との関係を統計的な手法を用いて分析した。その中で、気象因子のうち、低温・水によるストレス、成長調整物質の変動、栄養分の欠如が年輪形成に影響していることを示している。さらに、Schweingruber(1988)は軟X線デンシトメトリー法による年輪解析をもとに、気象因子だけではなく、山火事、崖崩れ、さらに火山活動などを含めた種々の環境因子にまで広げて、年輪変動との関係を紹介している。

本研究では、以上のような年輪に含まれる「過去の気候の記録」に焦点を当てる。

極相林と呼ばれる森林も樹木の更新によって維持されるが、この調査地も同様にモミ・ツガ林を中心とした極相林であり、樹齢構成の解析をすることによって更新性にどのような特徴があるのかを明らかにしたい。そして、年輪年代学的解析によってモミ・ツガの生長発達にどのような環境要因が働いているのかも検討していく。過去の樹木の衰退変移を明らかにする手法の一つとして年輪解析は有効な指標の一つと考えられるが、これによって調査地におけるモミ・ツガが受けた長期間の環境変動を復元し、将来の気候的な環境変動を予測するための生物指標を示唆することも可能であると考えている。

  V 調査地と方法

  1  調査地

調査は、鹿児島県北部にある姶良郡牧園町の大浪池登山口付近で行なった(Fig.1)。この山地は霧島山系に属し、大浪池南西斜面に位置する。標高は、およそ1140m。調査地のすぐ上には登山道があり、その下には林田から宮崎県えびの高原に続く県道がはしっている。休みとなると、登山客や自家用車の数も多い。ここは霧島国立公園内にあり、特別保護地区に指定されている。この調査地の中にも割と新しいところで伐採の後が見られ、過去に人為的影響や土壌攪乱などがあったことを考慮する必要がある。

この調査地の種組成は、上層をモミ、ツガ、アカマツの針葉樹が、下層にはハイノキ・シキミなどの常緑広葉樹がそれぞれ優占する針広混交林である。また密度は低いが、カエデ属の冷温帯性落葉広葉樹も混交している。したがって、この森林は常緑性針葉樹、常緑性広葉樹、落葉性広葉樹などの生活型の異なる林木種が共存する多様な群集と言える。なお詳細については同期間、同研究室の本田健大郎氏が行なった毎木調査の取り纏めを参照されたい。

2 野外調査

毎木調査は1997年12月から1998年12月にかけておこなった。

100m×100mの調査区(1ha)を設定し、さらに5m幅で縦横に分割して400個の方形区を作った。そして樹高2m以上の木で、個体位置、樹種、胸高直径(DBH)、樹高を測定した。

モミ・ツガの同定に関しては、特に老齢木で樹皮の特徴だけでは同定を誤ることがある。本来ならば材の小片を持ち帰り薄切片を作り、顕微鏡で同定する方法(鈴木、1989)をとることもある。また対象木の周囲のリターでは判断できず、今回は枝のつき方(Fig.2)で判断した。

なお同期間、同研究室で、稚樹については富永勝久氏が、リタートラップでの調査とモミ・ツガの現存量を津曲宏昭氏がそれぞれ取り纏めをしているのでそれらも参照されたい。

年輪の採取については、1998年6月から同年12月にかけて行なった。

伐採された樹木の切り株や伐採前からの枯死木、毎木調査後全立木を伐倒し採取した(地際)円盤により成長量の測定を行なう方法(佐野、1989;鈴木、1979ほか)もあるが、今回は林学調査用のスウェーデン製成長錐を用いてコアを採取し、これを樹幹解析の試料とした。

なお、原則として1方向、場合によっては数方向からコアを採取した。途中心材が腐れているものや成長錐の長さが足らずに中心に至っていないものもある。

コアの採取の高さは本来ならば胸高直径の部分に統一すべきであったが、出来るだけ多くの年輪幅を確保するために、それよりも下のほうで採取した。

コアを抜き取った空洞には、細菌等が入らないように木工用ボンドでコーキングを行った。

  V 解析方法

1.    樹幹解析

持ち帰ったコアはストローに入れ、冷蔵庫内で保管した。多少乾燥により縮んだおそれもある。

樹幹解析の年輪数と幅の測定は、外側から5年ごとに0.1o単位で年輪を測定し、成長増進期と成長減退期を調べる方法(鈴木、1979)もあるが、今回は各年の気象データと比較するために毎年の成長幅を実体顕微鏡と0.5o単位のステンレス定規を使って0.01o単位で目視による測定をした。

これらの方法は、ポインターイヤー法(pointer year technique)と呼ばれ、年輪幅を用いる方法の中でも簡単な方法である。その他にも、ソフトX線・デンシトメトリ(年輪構造解析法)という年輪の密度によって測定する方法もある。古生態学や考古学でよく利用される放射性同位体14C法も、数十年から数百年程度の年代に対しては十分な精度を持っていない。

年輪をさらに読みやすくするために、表面を木工用紙やすりで研磨し、場合に応じてカッターで表面を薄く削った。水をつけると年輪がはっきりするが、その他にも白色ワセリン塗布や白チョークの粉末を塗布すると、観察が容易になるという報告もある(光谷・田中、1986)。

円盤を使う方法は、傷などすべての方向の情報を得ることができ、かつ年輪の幅が最も広く年輪を数えやすい方向にそって、原則的に1方向、場合によっては2方向の年輪を測定することができる。しかし、生きた木を伐採しなければならないというデメリットもある。成長錐によるコアの採取はその反対となる。

今回、コア採取において2〜3方向にとった年輪数に関しては、一年間に2つ以上の偽年輪を作るより年輪が不完全だったり欠けたりしている場合のほうが多いと考えられるので(鈴木、1979)、そのうちの最多年輪数を基準とした。また、高田研一(私信)によれば、ミツバツツジでは完全な年輪の数より不完全な年輪を含めた数のほうが節数から測定した樹齢に近いという。

欠損や偽年輪のほかにも、一番新しい年輪幅が成長錐でコアを採取する際につぶれたり、繊維と見間違えたりすることがあるので、それらを考慮しながら年輪解析をする必要がある。

樹幹解析のその他の問題点としては、今回採取する高さをあまり考慮しておらず、成長錐で採取するので、たとえ下のほうで採取したとしても、地際がはっきりしていないこともあげられる。

また、心材が空洞化した幹があることや途中から腐れていることもあるので、それらも年輪解析をする際に留意しておくべき点である。

このような弊害もあるが、樹幹解析から得られた情報は多いと考えられる。さらに有意な情報も示唆してくれるはずである。

その後の解析は、コンピュータの統計解析ソフト(excel、Systat、STATISTICA等)で処理をした。

  2 調査地における気温の換算

大波池一帯では、気温の観測が全くなされていない。

一番近いところではえびの観測所で記録されているが、1965年の6月から1975年とかなり短い期間でしかとられていない。

そこで、霧島山総合調査報告書(1969)を参考に、各サイトの相関関係を見ることにした。報告書には、小林市とえびの高原との気温の変化がよく似ていること、都城と小林も似たような傾向にあることが記されている。

今回の調査でも牧園との関係を除けば、同様の結果が示された(Fig.18)。

そこで、相関関係(係数)の有意さ(p<0.05)と最も長い長期の観測期間を考慮にいれ、小林のデータをもとに調査地の気温を割り出した。

その方法は以下のとおりである。

気温は海抜高度が増すにつれて低くなるのは当然であるが、山地の北側と南側ではその割合が異なっている。北側では100mについて0.67℃、南側では海抜760m(霧島測候所山ろく観測所)以下で0.46℃、それ以上のところで0.86℃の割合でそれぞれ海抜高度が100m増すにつれて気温が低くなっていることが分かっている。しかし、これらの高度に伴う気温の減率はかなり大まかにいえることであって、寒気のたまりやすい凹地などの局地には必ずしも当てはまるものではない。

気温の逓減率(lapse rate)は、極地をのぞき普通0.4〜0.7℃/100mの範囲にある。全世界の平均は0.55℃/100mであり、一般にこの数値を用いることもあるが、我が国では主として海抜1500m内外まで平均0.61℃/100mという値が得られている(群落の分布と環境、1977)。

今回は、山地の北側の値である0.67℃/100mを気温逓減率として用い,参考までに0.55℃/100mでも計算した。小林の標高は200m、大波池調査地は標高1140mを基準とし、その差は940mメートルである。これを0.67℃/100mの気温逓減率で計算すると6.3℃、0.55℃/100mの気温逓減率で計算すると5.2℃の差となり、約1℃の幅を考慮しておかなければならない。

3 傾向曲線および標準化曲線の算出

樹木の生長には多くの要因が関与する。樹木の個体内における樹齢による生長活動の差や結実・種子生産量のコスト面などといった生理学的かつ遺伝的な特性、環境要因としての気象条件、立地条件、生物間相互作用による病虫害など、実に様々な要因で年ごとの差が生じる。

言い換えれば、同じ樹種で同一年に形成された年輪でも、樹齢や生育環境条件などの差異に応じ、個体内、個体間差が生じることになる。さらに、年輪幅における樹齢の個体内変動によって生長の個体内差が生じる(Fig.3)。

また、各年代ごとの気象因子の違いにより反映される個体内および個体間の年間生長量を比較する際には、生長に関わる諸条件の中での非気候因子を除去する必要がある。このように、年輪幅データを修正し、個体的特徴を取り除くことを一般に標準化処理と言い、得られた変動曲線を標準パターンと呼んでいる。

この標準化処理には、欧米では多項式あてはめ法、移動平均法、多重移動平均法、指数式あてはめ法などがあるが(光谷・田中、1986)、ヨーロッパや日本の研究で広く採用されている5年移動平均法を採用することにした。5年移動平均から算出した傾向曲線、および実測値と5年移動平均との比から標準化曲線を算出した。傾向曲線(average trend curve)と標準化曲線(average standardized curve)の計算は以下のとおりである。

  R(i):i年の実測値、 T(i):i年の傾向値、 S(i):i年の標準化値

Rは実測値、Tは傾向値、Sは標準化値を表し、それぞれ求めようとするi年の値が

算出される。

 

実測値による変動曲線と傾向曲線の違いをFig.4に、傾向曲線と標準化曲線の違いをFig.5 に示す。

この標準化曲線は、とくにマスタークロノロジー(Master chronology)を行っている。マスタークロノロジーとは、年輪データの平均値を求めることである。多くの木から試料を採取し、各個体の年輪成長量やその他の記録を平均化すれば、気候シグナルを増進することが出来る。言い換えれば、気候シグナルを増大させ、他の要因の影響(ノイズ)を減少させることは、各個体1本1本の成長に関する様々な因子から非気候因子を取り除くことで、個体差を軽減させることが出来る。

傾向曲線は上下変動の激しい平均曲線(ここでは実測値による曲線)と比較して平坦化され、経年的な成長曲線をとらえやすいという利点がある。一方、標準化曲線では樹齢の影響が除かれ、各年のプラスまたはマイナス要因の変動を顕著に表すことができる。したがって、森林施業や自然災害、汚染、気候因子などの影響を受けた年からその後の変動傾向を見るのに適し、標準化曲線ではその年の環境要因の影響の度合いを検証するのに適していると考えられた。また、標準化曲線では、その年の環境因子の影響の度合いを検証するのに適していると考えられた。また、標準化曲線の変動を解析することによって、成長の突出あるいは突然の衰退が、いつ、何によって誘発されたのかを判断することが可能となる。(小林ら、1992)

今後環境因子との相関解析を進めていくことにより、変動の一致性が何によるのかが判明すると考えられる。

4 前進ステップワイズ法による重回帰の意義

各年の成長量には様々な因子が反映されている。

北海道の例で見ると、樹木の光合成活動に十分な日照時間や光量は成長期間中確保されており、土壌水分が十分供給されていれば、気温が大きく影響すると考えられるという報告もある。また、野堀(1988)では、年輪の晩材容積密度と降雨日数との間に相関があることを指摘している。(樹木の年輪が持つ情報)。

さらに、Suzuki(1990)では、西ネパールのRara lakeの周囲に生息しているAbies spectabilis の年輪成長に第一として前年の5月から8月までの降水量、第二に前年の9月から12月までの降水量に相関があったことを報告している。

先にも述べたとおり、各年の成長量は単に一つの因子だけでは説明できず、いくつかの因子が集まってその決定に大きな影響を与えており、より複雑であると言えるが、気象因子だけをとってみても、実に様々である。残念なことに、この調査地における気象データはあまりにも乏しく、因子の決定に限りをもつ。よって、本研究では年輪成長の気象因子として気温ならびに降水量だけに焦点を当てた。

解析方法としては前進ステップワイズ法による重回帰分析という数学的統計手法を用いた。

これは、観測値Y(ここでは年成長量のあらわれである年輪幅の補整値。)をいくつかの要因(各月の気温ならびに降水量を独立変数とする。)によって、相関関係を説明する方法である。説明できる最良の回帰モデルが得られるまで、独立変数はそれぞれ個々の回帰のステップでモデルに追加されたり、削除されたりすることを前進ステップワイズ法という。

いろいろな気象因子が含まれる中で、今回各月総降雨量と月平均気温の二つの気象因子に焦点を当て、独立変数を規定した。さらに、年輪が形成された年だけでなく前年の同じ気象因子にも着目した。

W 結 果

1.    調査地におけるモミ・ツガ(樹高≧2m)の年齢構成

1) 齢構成

モミとツガ(樹高≧2m)の年齢調査の結果をFig.9とFig.10に示す。

採取したコアが中心部に達してないものや、途中腐れて年輪が判読不可能な個体もあり、実際にはもっと老齢な分布に片寄ると考えられる。

この調査地は、モミで90〜350年、ツガで30〜360年と幅広い林分で構成されている。どちらとも240年前後を境にピークがある。また、不連続性の更新様式を示しているが、全体的に一山型といってよい。

ここで最も老齢な個体はモミで354年生、ツガで360年生であり、最も若齢な個体ではモミで95年生、ツガで32年生であった。モミよりツガの最高樹齢のほうが高く、歪度(Table.1)で見ても明らかである。

2) 樹齢とサイズの関係

Fig.11に樹齢と胸高直径、Fig.12に樹齢と樹高との関係を示す。

胸高直径ではモミで60〜70cm、ツガで40〜50cmの階級に一番多く分布しているが、そ の樹齢はモミで240年、ツガで225年代生を中心に集中しており、正規分布を示す。また、伸長成長の表われである樹高に関しては、モミで20〜22m、ツガで16〜18mの階級に集中していることがわかる。

樹齢が増加するにつれて個体サイズも増加する傾向にあるが、若い樹齢では個体サイズの変異が大きいのに対し、加齢に伴ってばらつきが少なくなっている。

胸高直径も高さも、共に頭打ちとなっている。

3) 齢構造と空間分布

樹齢と位置関係図を、Fig.13に示す。

モミもツガも樹齢によっていくつかの小集団(パッチ)を形成しており、樹種間でもすみわけがおこっていると考えられる。

2 大波池周辺における気象データ解析(Table.2)

1) 気候の概観

大波池登山口一帯は鹿児島県に属するが、道路をもう少し北に上がると、すぐにえびの高原にさしかかり、宮崎県に入る。どちらとも日本では南国といわれる県であり、熱帯性や亜熱帯生の植物が自然に生えているところもある。一般に気温が高いとされるが、霧島山を中心とする山岳地帯では四季を通じて気温も低く、平均気温でいうと北海道や東北地方の平地とほぼ同じであると報告されている(霧島総合調査報告書、1969)。夏は涼しく、冬は南国として珍しく雪が多い。

一般に山岳付近の観測ポイントは乏しいとされており(中尾、1985ほか)、気象データも少ない。霧島山の周辺には比較的多数の観測地点があるが、観測期間がずれていて比較困難な点もある。いずれの場所においても驚くほど欠測値が多く、気象庁では10日以内であれば数学的処理をおこなって統計値として補っている箇所も多い。観測ポイントによって気温、降水量、日照時間、風、積雪などを測定してあるが、冒頭に述べたように共通した観測種目が少なく比較困難な原因である。特に、今回の研究では、日照時間は比較することができなかった。

また、長期的な観測記録が乏しく、霧島や牧園などをはじめ、中学校や高校、役場などの委託によるものも多い。学校では百葉箱が置かれているが、信頼性はそれほど高くないと思われる。幸いにも、今回の解析で用いる小林とえびのの観測ポイントは、測候所である。調査地周辺の観測地点は、宮崎県のえびの、小林、霧島御池、鹿児島県の霧島、牧園、大波池を取上げた(Fig. )。

各サイトの気温ならびに降水量をFig.14〜Fig.17に、それぞれの相関はFig.18からFig.21に示すとおりである。どのサイト同士をとって見ても、気温、降水量ともに、ある程度相関が高いことがわかる。ただし、牧園に関しては過去に一度大きな観測地点(海抜180mから490m)の変更があり、同じ町であっても注意しなければならない。もちろん相関係数も低くなるが、2つの観測地点で分けると、もう少し高い相関を得た。ここでは、このあとの解析に実際必要としないために、そのまま表している。

  1. 大波池一帯の降水量分布

霧島山一帯は九州本土では最も降水量の多い地域で、全国的にも上位のランクに入る。我が国有数の多雨地帯であると言ってよい。一般に山地の雨が平地に比べて多いことは経験的によく知られているが、霧島山もその例に漏れず、降水量は高度が増すにつれてしだいに多くなる傾向を示す。しかし、最多雨量は山の山頂よりも少し下がったところにあると言われており、霧島一帯でもえびの高原付近(標高1150m)のほうが年間降水量約5000o(今回の統計では約4600o)と最も多くなっている(大波池、標高1324mの年間降水量は約3000oであるとされる。)。ちなみに山麓に位置する小林(標高200m)では今回の統計値で2209oであった。今回の統計値以外は、気象庁(1958)の山岳気候表によるものである。

今までに周辺地域と降雨量との関係についてはかなり詳しくわかっている(霧島山総合調査報告書、1969)。明らかに山地形と非対称に降水量が分布しており、山地形が降雨に影響を与えていることが示されている。

一雨ひと雨の降り方であるが、えびのの記録によると、台風時に1日の降水量最大は781o、一時間降水量の最大は78oという、一時にかなりの大雨をもたらすという点では、いわゆる南国山地特有の降り方であると言ってよい。

3) 調査地周辺における気候分類と気候的極相群系

霧島総合調査報告書(1969)によると、ケッペンの気候分類法によれば、えびの高原や大波池山頂はCfb(最寒月の平均気温18〜−3℃、1年中多雨、最暖月の平均気温<22℃、少なくとも4ヶ月の平均気温>10℃)の気候になるが、特に低温であった1945年、1968年の観測値などから推定すると、韓国岳・新燃岳・高千穂峰などの山頂部では、Dfb(最寒月の平均気温<−3℃、最暖月の平均気温>10℃、1年中多雨、最暖月の平均気温<22℃、少なくとも4ヶ月の平均気温>10℃)の気候であろうと考えることができ、我が国におけるD気候(最寒月の平均気温<−3℃、最暖月の平均気温>10℃)の南限に当たることになると報告している。

今回統計処理をおこなった調査区(大波池)気象データおよびえびの気象データと比較すると、最寒月の平均気温−0.67℃(大波池)、−1℃(えびの)>18〜−3℃(C)、両サイトともに1年中多雨(f)で、最暖月の平均気温19.93℃(大波池)、19.99℃(えびの)<22℃、10℃より高い平均気温の月数が大波池、えびのともに少なくとも4ヶ月の基準を超えており(b)、報告された(1969)ケッペンの気候分類法によるCfbの気候に準じていた。

さらに、調査地の暖かさ指数はFig. に示すとおり、1917年から1997年(一部欠損)で気温逓減率0.67℃/100mを用いた場合、平均で71.29℃・月(最高81.30℃・月、最低64.50℃・月)、参考までに気温逓減率0.55℃/100mでは平均80.39℃・月(最高91.4℃・月、最低73.4℃・月)であった。 温量指数(吉良、1976)の気候分類で見ると、冷温帯に属する。

3 各個体の成長動態と気象パターン

最良の回帰モデル内に有意(p<0.05)に取り込まれた年輪形成年の各月降水量の数をFig.22、前年各月降水量の数をFig.23、年輪形成年の各月気温の数をFig.24、前年各月気温の数をFig.25に示す。

年間成長量には様々な因子が関わって決定されるが、その有意に取り込まれた数の表われは、モミ51本、ツガ50本のうち、最大公約数的な共通した気象因子として、最もかずの多いものを主に(第一に)効いていると定義した。

今回の調査では、モミ・ツガ両種とも、年輪が形成された年の3月総降雨量に一番の相関があらわれた。これは、単純回帰によるツガでの51本平均化した標準パターンの曲線と3月の降水量とに唯一相関見られたことにも裏付けされる(Fig.26)。

また、ツガでは8月、モミでは、9月の降水量に第二の相関があらわれた。

前年の降水量で見ると、ツガでは11月にはっきりとしたピークがある。

気温でも同じように、モミ、ツガ両種ともに3月の気温が効いていることがわかった。また、ツガでは前年の11月の総降雨量との相関が顕著にあらわれたのに対し、モミでは同じ前年の11月の平均気温にそのピークがあらわれた。樹種によって多少の最高決定要因が異なることを示唆する。

X 考 察

1.    調査地におけるモミ・ツガ(樹高≧2m)の年齢構成

1) 齢構成

年齢調査の結果から見ると、調査地におけるモミとツガはおよそ240年前にほぼ同時に更新したと考えられる。さらに、調査区での主林分の更新開始時期はおよそ310年前に始まったと推定されるが、高知県での更新様式(鈴木、1981)でもみられるように、ツガ、モミの両種の一部は、更新開始前約40年間に発生したものもある。

最高樹齢を他の地域で比較する(Fig.27)と、屋久島西部でモミの624年生という最も古いとされる記録(鈴木・薄田、1989)があり、九州本島で知られている両種の最高樹齢は、、モミで410年生(中尾、1985)、ツガで639年生(中尾ほか、1986)とされる。

さらに九州以外の地域を見ると、高知県のツガの最高は505年生(鈴木、1982)、関東と 東北地方では、モミで225年生(内藤、未発表)、ツガが340年生(佐々、1982)のものがあり、どこでもモミよりツガのほうが老齢まで存在している。

日本北東部から南西部に向かって、ツガとモミの最高樹齢が高くなっている傾向にあるように思われる(中尾、1985)が、ここ霧島大波池を地理的に比較しても同様なことが言える。

 今後の更新を考えると、閉鎖した林冠のもとで生育したツガ、ヒノキなどの稚樹が被陰下で生存できる樹齢の限界は、およそ20年生までとされる(鈴木、1980)。この調査区でも32年生のツガが1本あるだけで、その後90年の間には両種とも全く存在しない。つまり、成熟林の林床の針葉樹稚樹個体群は、つねに少数の新しい実生個体群が発生し、およそ20年以内には枯死するという動的平衡を保っていると思われる(鈴木、1980)。調査区内でもモミ・ツガの稚樹で似たような生存曲線を示す(富永、未発表)。台風などの大きな気象イベントにより発生した倒木などが原因で高木層に新たなギャップができると、今まで成長のほとんど止まっていた稚樹が一斉に成長を再開する。その生残率はかなり高いので、成熟林内にある稚樹は、数こそ少ないが、更新にとって重要である(鈴木、1980)と考えられる。

寿命というものが分布域の環境で決定されるとすれば、環境に対応できなくなったある年齢以上の個体は存在できなくなり、場所によっては現在この年齢的な最終段階に達していることも考えられる。屋久島の老齢林では、樹形や周辺での大木の立枯などからみても大径木は寿命に近いとみられる(中尾、1985)が、この調査地ではまだ樹勢もよく、当分の間はこのまま老齢化するものと考えられる。

今後、台風などの大きな気象イベントが、新たなギャップを形成し、次への更新過程のきっかけになると考えられるが、次の年齢分布パターンの動的変遷は若齢部分が多く左上がりの直線か、あるいは逆J型のタイプになると予想される。

また、年齢構成には、大きな変化のほかにも小さな変動が見られるが、これは恐らく種子の豊凶によるものがひとつの要因だと考えられる。

2) 樹齢とサイズの関係

樹齢と個体サイズとの関係は、樹齢の頻度分布でも示したように、ある樹齢の階級層をとってみても胸高直径、樹高ともに、これらが一様な成長をみせずに散布し、様々な階層の構成要素となっている。これはミズナラ(佐野、1988)や高知県のツガ(鈴木、1980)でも報告されているが、このことからも天然林の場合には個体のサイズのみで動態を論じることは限界があると考えられる。

伸長成長の成長量は、ある程度の年齢までいくと成長が悪くなり、頭打ちになる。これは、屋久 杉のような樹齢何千年といった木の樹形をみても明らかであり、そのほかの樹種でも同様なことが言える。これは、風などの外的要因も働いていることが考えられるが、さらに、老齢な樹木ほど風による倒木の可能性も高くなる。

もともと肥大成長の表われは、例え同じ成長量を年間に行ったとしても、断面積は同じであるのに対し、外側樹皮に近ければ近いほど、その胸高直径幅は小さくなる。さらに、若齢と老齢の直径成長幅で比較すると、同じ年代に形成されたとしても胸高直径の成立ちに基づいて老齢の成長幅のほうが小さくなることが多い。これを、以下、年輪幅における樹齢の個体内変動という。

  1. 齢構造と空間分布

樹齢の近い個体同士の集まりは、同じ期間内に更新したことを示唆し、似たような環境下で更新がおこったと考えられる。このような環境要因として考えられることは、やはり倒木などの何らかの原因によって形成されたギャップが影響しているものと思われる。このことは、稚樹の生残率とギャップとの相関関係(富永、未発表)からみても推測される。

今回は、更新を100年(一部200年)という大きなスパンで見たが、クラスター分析という数学的統計手法によってもっと細かく分けられると予想される。

さらに、モミとツガでも顕著に場所の差がみられ、樹種間のすみわけ、あるいは土壌の保水性や肥沃性などの適応度が関係しているものと思われる。中尾(1985)では、モミ林では土層の保水性が良好で土壌も厚く肥沃性も高い立地に成立しており、ツガ林は逆に保水性不良で土層が浅く肥沃性も乏しい立地に成立しているという、すみわけを報告している。

2 調査地における気候分類

 温量指数(吉良、1976)の気候分類で見ると、冷温帯に属することがわかった。

しかし、調査地の種組成(本田、未発表、霧島総合調査報告書、1969)から見ると、混交林という側面から、暖温帯上部から冷温帯下部にかけての移行部の中心とする地域として考えることができる。モミ・ツガ林の日本の植生についてはまだ統一された見方はなく(堀田、1974)、暖温帯林域、冷温帯林域のいずれかに含めたり、これらの中間帯あるいは推移帯の森林としてみる立場とが両立している。またこれらを気候的極相とみるか、土地的極相あるいは途中相とみるかでも分かれている。モミ・ツガ林の性格づけがこのように分かれるのは、この生態的実態が明らかにされていないためであろう。

この調査地の現存量(津曲、未発表)で見てみると、常緑樹にとっては寒冷な地域であり、落葉樹にとっては温暖な地域であると推定している。本調査地の林分地上部の現存量は320.8t/ha、モミ・ツガ等の現存量は176.8t/haであり、中尾(1985)の現存量と温かさ指数の対応関係を示した図からも一致した。また、モミ・ツガ天然林分布域は、多くの場合が温かさ指数70から90の間に入ると報告している。屋久島では、同じモミ・ツガが生育している場所にも関わらず、標高による気温逓減率を0.55℃/100mとして調査地域の下限〜上限の年平均気温を計算すると、16.0℃〜15.5℃となり、温かさ指数は131℃・月〜125℃・月であり、調査区が暖温帯に属していた(Fig.30-31)。屋久島はモミ・ツガの生息する場所でも特に暖かいことが中尾(1985)でも報告されている。

現存量は様々な物理的環境要因によって決定されるが、その要因の一つとして温度の指標である温量指数を捉えることが可能である。

3 各個体の成長動態と気象パターン

肥大成長量のフェノロジーを語る際には、過程を細胞レベルで見なければならない。また、一年を通しての形成層始源細胞の働きに着目する必要がある。

北海道大学構内で採取したカラマツの例で見れば、1月に見られる細胞の中には小さな粒子がたくさん見えるが、これは細胞の中に蓄えられている栄養分であったり、寒い冬に細胞が凍死しないための特別の物質(耐冬性物質)である。5月になるとこのような細胞が大きくなり始め、細胞は厳しかった冬に耐え、新しい年輪を作り始めたのである。6月になると、形成層から生み出された細胞は驚くほど増加している。7月中にも多量に作り続けられるが、8月になると様相は一変し、細胞が早材に比べ偏平となり細胞壁は厚くなっている。晩材の形成である。このような形成が9月まで続く。10月ともなると細胞分裂は停止し形成層細胞は再び少なくなる。そして形成層細胞は再び翌年分裂活動を開始するための栄養分を細胞内に蓄え、寒い冬に耐えるための耐冬性物質を作り始めるというように、毎年このような活動が繰り返されながら肥大成長および年輪形成をしていくのである。(樹木の年輪が持つ情報、深澤和三編、1990)

このような活動は、生育している環境に大きく依存していると考えられ、地域によって異なることが十分に示唆される。

冬になると、この調査地におけるモミ・ツガの水分量も凍結を防止するために脱水作用を起こすと考えられる。経験的にも冬になると幹が堅く、逆に雨が降った日やその翌日には幹が柔い。コアを抜いた後には、その穴から勢いよく放水される様子が伺える。

モミもツガも冬の乾燥から脱却し、3月には勢いよく給水が始まると考えられる。このことは、肥大成長と光合成量を考慮するならば、その年プラスされた開葉量や開葉時期にも反映するのではないかと考えられる。3月で吸収された水がしばらくの間、樹木内に蓄えられ、それを4月から5月の開葉ピークと同時に光合成の原材料とし、盛んにブドウ糖合成がなされるならば、細胞壁を作るセルロースやリグニンなどの形成から形成層細胞の数となって肥大成長量(幅)に反映される。そこでは、給水時期と開葉(最大葉量)ピークの多少の時間的な誤差が生じるのではないかと考えられる。

また、水分量のみならず、その時の温度によっても左右されると言ってよい。

降水量ならびに気温に対する相関のあった月が春と秋の大きく2つの時期にわかれたことから、偽年輪に見られるような1年に2度の成長時期があらわれることが、結果として肥大成長量の増加のきっかけとなっているのではないかと考えられる。

もっとグローバルな視点で見た場合には、本来気候因子だけは考えられないにしろ、少なくとも今後の気象変動、特に春先に何らかの変化が起こった際には、間違いなくモミやツガに影響がでると思われる。さらに、この森林を取り巻く生態系にも、少なからずとも影響を与えるだろう。

近年、エルニーニョやラニーニャ現象などによって、寒暖の差が激しくなったといわれる。本研究でも、ここ200年の間の変動係数(C.V.)による年輪変動の激しさ(Fig.29)から、少なくとも3月の平均気温の変動も大きくなってきていることが示唆される。地球レベルでの異常気象を物語っているのかもしれない。

Z 謝  辞

本研究の全般にわたり、久保田康裕氏には御指導、御校閲頂いた。

また、同調査地を対象に研究された津曲宏昭氏、富永勝久氏、本田健大郎氏をはじめ、同研究室の藤原理香氏、山下加奈氏、吉永夕香氏には日頃から助言、議論をして頂いた。

さらに、フィールドワークでは植物学研究室の諸氏をはじめ、同郷のよしみである荒木博光君、高野広太郎君にもご協力を得た。

気象データに関しては、鹿児島気象台高層課の久徳洋市氏をはじめとする方々に便宜を図って頂いた。

理科教育学講座の八田明夫教授には、年輪コアの学術用写真撮影ならびに御指導頂いた。

末筆ながら、深く感謝すると共に、心からお礼を申し上げます。

[  摘 要

1.時系列的な樹木の衰退を明らかにするためには、年輪年代学的解析は有効な手法の一つとして考えられる。本研究では、樹齢構成の解析をすることによって更新性にどのような特徴があるのかを明らかにした。さらには、モミ・ツガの生長発達にどのような環境要因が働いているのかも検討した。その結果として、調査地におけるモミ・ツガが受けた長期間の環境変動を復元し、将来の気候変動を予測するための生物指標を提示する。

2.100m×100mの調査区(1ha)を設定し、さらに5m幅で縦横に分割して400個の方形区を作った。その調査区内に出現したモミとツガ(樹高≧2m)それぞれ51本のコアを林学調査用のスウェーデン製成長錐を用いて採取し、これを樹幹解析の試料とした。年輪の採取については、19986月から同年12月にかけて行なった。

3.今回は各年の気象データと比較するために、毎年の成長幅を実体顕微鏡と05o単位の定規を使って001o単位まで目視による測定をおこなった。

4.この調査地は、モミで90350年、ツガで30360年と幅広い林分で構成されている。どちらとも240年前後を境にピークがある。モミとツガはおよそ240年前にほぼ同時に更新したと考えられる。モミの最高樹齢は354年生、ツガの最高樹齢は、360年生であった。モミよりツガの最高樹齢のほうが高い。日本のどの調査地でも、同様にモミよりツガのほうが老齢まで存在している。この調査地ではまだ樹勢もよく、当分の間このまま老齢化すると考えられる。

5.モミもツガも樹齢によっていくつかの小集団(パッチ)を形成している。樹種間でもすみわけがおこっていると考えられる。このような樹齢の近い個体同士の集まりは、同じ期間内に更新したことを示唆し、似たような環境下で更新がおこったと考えられる。

6.標準化処理には、5年移動平均法を採用した。5年移動平均から傾向曲線を算出し、実測値と5年移動平均との比から標準化曲線を算出した。さらに、モミとツガそれぞれで、マスタークロノロジー(master chronology)を行った。

7.年間生長量の決定には、いろいろな因子が含まれる中で、今回は各月総降雨量と月平均気温の二つの気象因子に焦点を当てた。さらに、年輪が形成された年だけでなく前年の同じ気象因子にも着目した。

解析方法としては前進ステップワイズ法による重回帰分析をおこなった。ある従属変数は、いくつかの独立変数によって説明できる。ある個体の年輪変動を従属変数、過去31年にわたる各月の降水量ならびに過去65年にわたる平均気温の変動を独立変数として、降水量と気温を別々に解析した。最良の回帰モデル内に有意(p<0.05>に取り込まれた最も数の多いものを、第一に効いていると定義した。

8.今回の調査では、モミ・ツガ両種とも、年輪が形成された年の3月総降雨量と平均気温に第一の相関があらわれた。さらに、秋における降水量と平均気温に第二の相関が現れた。1年に2度の成長時期があらわれることは、結果として肥大成長量の増加に結びつくと考えられる。

9.今後の気象変動、特に春先におこった気象変化は、間違いなく今後のモミやツガの生長量に影響を与えると思われる。そして、今後の森林動態にも影響すると考えられる。

10.過去における調査地内のモミ・ツガ年輪幅変動は、過去の3月の平均気温変動を表す。この変動幅は、ここ200年の間の変動係数(C.V.)が大きくなっている傾向から見ても、近年激しくなっていると思われる。最近よく聞かれるエルニーニョ現象やラニーニャ現象などによって引き起こされる寒暖の差が反映され、地球レベルでの生態系の変化と異常気象現象の関係を示唆しているのかも知れない。

\  付 録

1 温量指数(Fig.30-31)の定義

地球上の大気候を地域的に区分・分類するためには、その基本的なアプローチのひとつとして、気候のもつ環境としての意義に注目する。そして、その作用の結果は植生、陸水、土壌、農作物などの大分布を基準とし、これを決定する気候要因を求めることによって気候の区分を行うものである。

現在用いられる気候分類であるK ppen(1936)や吉良(1945,1976)などの方法は、いずれも気候の違いが気候的極相群系の大分布に忠実に反映されることから、気候要素による区分の基準として大分布を採用している。具体的には、ある気候要素(気温や乾湿度など)の分類が、冷温帯や暖温帯などの気候的極相群系の分布と対応関係にあることである。

これらの方法で用いられる気候要素は平均値であることが多く、大気物理学としての気象学・気候学の立場から見ると全く経験的・表面的な方法にすぎないとする批判も可能であるとされている。しかし、動物を含めた生態系の分布や、人為による農作物の分布を考えると、植生大分布はその基本的な枠組みを作る点で重要な意義をもつなど、生態学的には原因的・理論的な方法である。

以下では、我が国で考察され、実用性が高く、しかも生態学的な合理性にも十分配慮された方式として、吉良(1945、1976)の気候分類を中心として記述する。

大気候の構成要素うちで、気候的極相群系の分布と最も大きな相関を示すものは、温度および水(乾湿度)の分布である。緑色植物の生育要因としては、この他に光が重要であるが、大気候的に見た場合、生育期間の光の強さには、温度や水の場合ほど大きな地域差はみられない。

温度には、植物の物質代謝・生長・形態形成などの、より本質的な生理作用の「場」の状態を示す基本的な指数としての意義が大きく、少なくとも現在のところまでは、より広い適用性をもっている。温度の指標としては、植物体温を取上げるのが自然であるが、これは通常気温に近づく性質を持っていることから、一般には気温の測定値をそのまま利用することが多い。

吉良(1976)は、植物の分布に対する温度の作用に、下にあげたような三つの面があるとしている。

  1. ある植物の種類が年間を通じて正常な生長と形態形成を行い、生活環を完成するためは、

種の固有なある閾値以上の温度の一定量の持続(蓄積値)を必要とする。

b) 植物が直ちに枯死するほどの低温ではなくても、この閾値以下の温度の持続がある限界

を超えると、その種類の分布は制限される。

c) 植物の呼吸の最適温度が光合成の最適温度よりも高いので、高温のため増加した呼吸

量が低下しつつある同化量を上回る限界温度―高温補償点―がある。したがって、その種

類の高温補償点を超える気温が相当続くと、分布は制限される。

K ppenが、かれの気候分類で寒冷気候帯(D)、ツンドラ気候帯(ET)、氷雪気候帯(EF)の3帯の境界を、1年の最暖月の平均気温10℃および0℃で定義しているものは、上のa)に関連して、夏の積算気温の簡便な代表値として用いられたものと考えられる。また、熱帯気候帯(A)、暖温気候帯(C)、寒冷気候帯(D)の境界を最寒月の平均気温18℃および−3℃で定めているのは、上のb)との関連を考えることができる。

しかし、K ppenの方法は、簡便ではあるが一般性に乏しく、「その場その場の」(ad hoc)方法論という批判を免れることができない。吉良(1945)は、上のa)について主として農林業などの応用面でその有効性が実証され、かつ理論的な意義づけも可能な積算温度のアイデアを採用し、5℃を経験的に閾値とした月平均気温(t)の積算値を温かさの指数(温量指数 warmth index, WI)と定義した。すなわち、

WI= (t−5) [ nはt>5℃である月の数]

となる。

グローバルな視点から見ると、日本列島を含むユーラシア大陸の東縁部は、乾湿度において湿潤・過湿潤の地帯が寒帯から熱帯に至るまで連続して、海洋や乾燥気候によって分断されない点で、唯一の地域である。そして、ここには寒帯のツンドラ植生に始まって、亜寒帯針葉樹林→冷温帯夏緑樹林→暖温帯照葉樹林→熱帯降雨林と続く、森林だけでつくられた一連の群系の温度系列が認められる。吉良は、まずこの地域について、table. のように温量指数の決まった数値を選ぶことによって、その等指数線が群系間の境界線とかなり一致することを示した(吉良、1945)さらに、この方法は東亜だけではなく世界の各地に適用できる(今西・吉良、1953 Yim&Kira、1975 吉良、1976)とし、また平均的な気温の垂直逓減率を適用することによって垂直分布(吉良 1948)や個々の樹種の温度分布の考察(吉良、吉野1967)にも適用できることが示されており、現在では生態的に温度分布を規定するための最も有効な指数の一つとなっている。

2.    大分布の気候的秩序

K ppenは既述したように、まず湿潤(サバンナ・森林)気候をA,C,D,Eの四つの温度的気候にわけ、乾燥(乾草原・砂漠)気候(B)と対比させる。すなわち、年間の最暖月の平均気温をtmax、最寒月のそれをtminとすると、

A: 熱帯気候 : tmin>18℃

B: 乾燥気候 : 乾燥限界(K ppen、ステップ気候と砂漠気候の境界)の指数<10

C: 温暖気候 : 18℃>tmin>−3℃、tmax>10℃

D: 寒冷気候 : tmin<−3℃、tmax>10℃

E: 極帯気候 : tmax<10℃

次に、C気候についてf(年中多雨)、w(冬乾夏雨)、s(夏乾冬雨)の3型、A、D気候についてf、wの2型、またB気候について乾湿度によりS、Wの2型、E気候について温度によりT、Fの2型をそれぞれ分け、結局下のような11の主要気候型を設置している。

A気候 : Af(熱帯降雨林気候)、Aw(サバンナ気候)

B気候 : BS(ステップ気候、乾燥限界指数 5〜10)、BW(砂漠気候、同じく5以下)

C気候 : Cf(温暖湿潤気候)、Cw(温暖冬季寡雨気候)、Cs(温暖夏季寡雨気候)

D気候 : Df(寒帯湿潤気候)、Dw(寒冷冬季寡雨気候)

E気候 : ET(ツンドラ気候、10℃>tmax>0℃)、EF(氷雪気候、tmax<0℃)

上をさらに細分するための添として用いる主要な記号として、C、D気候におけるa(tmax>22℃)、b(tmax<22℃、月平均気温>10℃が4ヶ月以上)、c(月平均気温>10℃が1〜4ヶ月、tmin>−38℃)、d(tmin<−38℃)の系列や、B気候におけるh(年平均気温>18℃)、k(同<18℃)などがある。

K ppenは純記述的にかれの気候分類を組み立てているのであるが、これに対して吉良(1976)は、温度および乾湿度の二つの軸によって植物群系大分布を座標付け(ordination)をしている。温度軸の測度としては、植物の生活活動に対する温度のプラスの作用を重視して、温量指数(WI)用いて下の7帯を区分する。

WI = 0 極氷雪帯 polar frost zone

WI : 0〜15 寒帯 polar tundra zone

WI : 15〜45 亜寒帯 subpolar zone

WI : 45〜85 冷温帯 cool temperature zone

WI : 85〜180 暖温帯 warm temperature zone

WI : 180〜240 亜熱帯 subtropical zone

WI > 240 熱帯 tropical zone

をおこなった。

3 〜古年輪学的アプローチとして〜

年輪によって、樹木の年代や過去の気象を推定する研究分野は、年輪年代学(Dendrochro‐nology)や年輪気象学(Dendroclimatology)と呼ばれている。

従来、この研究の分野は、その目的とするところが年代決定にある場合には、年輪年代学と呼び、気象環境の復元にあるときは、年輪気象学とよびわけ、両者を総合した呼称がなかった。しかし、過去の年輪、すなわち、古年輪を計測し、変動パターンを作成する作業過程は、年輪年代学と年輪気象学のいずれにもまったく共通したところであり、同一データをごく普通に両方で使用する。したがって、両者を総合して呼ぶことが必要な場合も少なくない。今後、この総合した研究分野の呼称に古年輪学のことばをあて、両者の区分が必要なときには、それぞれ年輪年代法と年輪気象法と呼び分けることにする(光谷・田中、1986)。

本研究では、最初にモミ・ツガ両種の成長にどのような気象因子が関わりをもっているのかに着目した。結果として、3月の降水量ならびに平均気温が効いていることが分かったのであるが、さらにその相関関係から各々の気象データの復元に試みようと考えた。しかし、単純回帰による復元出来るほどの十分な相関がえられず、たとえ回帰直線の式に代入したところで有効な数値として現れてこなかった。よって、今回は気象復元までには至っていない。

過去の気象復元は、気温や降水量といった長期の変動のほかにも、植物のその後の成長増進期、減退期の突入を決定すべく大きな気象イベントがある。

北海道では接近した台風の数が九州の比べて圧倒的に少なく、洞爺丸台風(1954)のような死者を出すほどの大きなものであれば、年輪幅変動にも大きな変化として現れることが報告されている(佐野、1988)。これは、風倒という撹乱による構造や動態の大きな変化によって生じたギャップによる成長増進や枝や葉量に与えるダメージによって成長減退の表われであると言ってよい。

さらに、真鍋・川勝(1968)は、樹幹が風圧から受ける歪みによって樹脂が浸出し年輪に残される台風斑点を利用し、屋久島における過去の台風と規模を推定した。

その他にも、火山や山火事の時代を推定するような傷が見つかる可能性もある。

このように、標準処理によって非気候因子を取り除くことは、樹木に与えるような大きな気象イべントを推察することが出来ると考えられる。

本研究でも、Fig.28に示すモミツガそれぞれ平均化した標準パターンに、年代の共通した変動ピークが伺われる。(以下は、数学的な統計手法を用いているわけではないので、憶測でしかないことを前提としている。)

ここ最近30年間で見てみると、モミ・ツガ両種の共通したピークには、総降雨量の変動するピークが一致する傾向にあるということが伺える。

そのほかにも、要因は分からないにしろ、成長増進や減退というきっかけは、郷土史や古文書などにも照らし合わせるならば、気象復元とともに連動し、例えば江戸時代の歴史上に残る、数ある中の大きな飢饉をもっと明らかにすることも可能である。実際には、年輪幅が狭くなる年にリンクして、天明期や天保期の飢饉でもそれとわかる変化がみられる報告もある。残念なことに、関東から遠い九州では、当時の史書とも照らし合わせても北日本や中部日本ほどの大飢饉はなかったと推測されている。

太平記の一節「北國下向勢凍死の事」。新田義貞の軍が北陸方面に向かおうとした際(1337年)に、琵琶湖の北の山中で兵馬凍死の大遭難事件と、当時の木曾ヒノキの年輪の極端に年輪幅がせまい年にあたるという相関から見ても、年代決定に有効な指標となるものである。

このような研究分野が今後進めば進むほど、放射性同位体14Cの年代決定とともに、さらに細かな区分として、年輪年代学の役割を十分担うものになるかもしれない。

さらには、人間の与える年輪中に残された原爆投下や核実験の傷痕、日本の高度経済成長期の大気環境の悪化や工場における大気汚染の関連性などを調べている研究もあり、今後生態系への影響を考える一つの生物指標になるかもしれない。

そして、これは生態系を含む環境教育といったバックグラウンドを整え、教育的意義・教材化の前進として、可能性が無きにしもあらずである。

\ 図表説明

Fig.1_ 調査地ならびに気象観測ポイントのマップ。

Fig.2_ モミとツガの枝付きのちがい (樹種同定法として扱う)。

Fig.3_ 実測値による年輪変動の個体差の例。

Fig.4_ 実測値による変動曲線と傾向曲線の違い。

Fig.5_ 変動曲線の平坦化。

Fig.6_ 調査地における過去の降水量変動。

Fig.7_ 調査地における過去の平均気温変動。

Fig.8_ 標準化処理後のモミ・ツガの標準曲線一覧。

Fig.9_ モミの年齢頻度分布。

Fig.10_ ツガの年齢頻度分布。

Fig.11_ 年齢と胸高直径(DBH)のサイズ構造。

Fig.12_ 年齢と樹高のサイズ構造。

Fig.13_ 更新に関する空間分布。

Fig.14_ 各観測ポイントにおける過去の月平均降水量。 

Fig.15_ 各観測ポイントにおける過去の月平均気温。 

Fig.16_ 各観測ポイントにおける過去の月平均最高気温。  

Fig.17_ 各観測ポイントにおける過去の月平均最低気温。 

Fig.18_ 各観測ポイント同士の過去の月平均降水量の相関関係。

Fig.19_ 各観測ポイント同士の過去の月平均気温の相関関係。

Fig.20_ 各観測ポイント同士の過去の月平均最高気温の相関関係。

Fig.21_ 各観測ポイント同士の過去の月平均最低気温の相関関係

Fig.22_ 最良の重回帰モデルに有意な要因として取り込まれた月の頻度分布。

      各個体の過去における年輪幅変動を従属変数とし、各月の過去の降水量変動を独立

      変数とする。

Fig.23_ 最良の重回帰モデルに有意な要因として取り込まれた月の頻度分布。

      各個体の過去における年輪幅変動を従属変数とし、前年各月の過去の降水量変動を独

      立変数とする。

Fig.24_ 最良の重回帰モデルに有意な要因として取り込まれた月の頻度分布。

      各個体の過去における年輪幅変動を従属変数とし、各月の過去の平均気温変動を独立

      変数とする。

Fig.25_ 最良の重回帰モデルに有意な要因として取り込まれた月の頻度分布。

      各個体の過去における年輪幅変動を従属変数とし、前年各月の過去の降水量変動を独

      立変数とする。

Fig.26_ マスタークロノロジーをおこなったツガの年輪変動と、過去における3月の平均気温変

      動との関係(単回帰の結果)。単純回帰でも、やや相関が見られるものもある。

Fig.27_ 他地域との比較に関する樹齢マップ。

       モミよりツガのほうがどこでも老齢まで存在しているような傾向にある。

Fig.28_ モミ・ツガのマスタークロノロジー。

       モミとツガに共通したピークが見られる。

Fig.29_ 3月の平均気温に関する最近の変動係数(C.V.)の変化。

       最初の100年はデータサンプル数の不足のため、変動が激しくなったと考えられるが

      そのあとの200年間(現在にかけて)は、気候変動が激しくなっていると推測される。

Table.1. 過去における気象データ

Table.2. モミ・ツガにおけるサイズ構造の統計量 

] 文 献

鈴木英治(1979)  ツガ天然林の更新. T. 樹幹解析によって推定した成熟林分の動態.

        日生態誌. 29: 375−386.

鈴木英治(1980)  ツガ天然林の更新. U. 約260年前および50年前におこった2回の 

           更新過程. 日生態誌. 30: 333−346.

鈴木英治(1981)  ツガ天然林の更新. V. 針葉樹稚樹が少ない林冠ギャップ下の更新

           とギャップ形成時の一推定法. 日生態誌. 31: 307−316.

中尾登志雄(1985)  九州におけるモミ、ツガ林の生態学的研究. 宮大農演報. 11

光谷拓実・田中琢(1986) 古年輪学研究(1). 京大防災研年報. 29:B−2.

佐野淳之(1988)  群落構造の解析による天然生ミズナラ林の更新様式に関する研究.

        北大演習林研究報告. 45(1): 221−266

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霧島山総合研究会(1969)  霧島山総合調査報告書.

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石村貞夫(1989) 統計解析のはなし. 東京図書.

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